2008/2/28  10:31

再び、CDO市場について。  分類なし

個人投資家の方におかれましては、CDO市場そのものが消えてなくなるまでは、新しく海外株式ファンドを買い増したり、始めたりするのは、それなりにハイリスクであるということは、なにとぞご自覚ください。

このブログでも幾度も記してきましたが、アメリカ・サブプライムローン問題は、低所得者に高い金利で貸し出したことが問題なのではない。さらに、金融機関がサブプライムローン債権(モーゲージ・ローン)を債券化(アセットバック化)して、小口化して、ABS(アセットバックセキュリティー)として売り出したことが悪かったのでも決してない。

なお、債務と債権は、借りる側と貸す側とで、立場によって、債務(借金・ローン)と呼んだり、債権(借金を取り立てる権利)と呼んだりする。
お金を貸し出した側(金融機関)から見たら、住宅ローンであれ何であれ、貸し出したお金は債権(とりたてる権利)である。
お金を貸し出した人(金融機関)は、ぼけ〜〜〜〜っと、この債権の満期(お金を回収できる期日)まで、この債権を保有しているのは、「もったいない!!!ほかの金融ビジネスにも乗り出したい!!!」と切に感じたら、この債権を債券化して市場で売り出せる。(ちなみに、この債券に不動産などの資産の裏付けがあれば、この債権を債券化したものはアセット・バック・セキュリティー(資産裏付け債券)と呼ばれる。)
金融機関は、債権を債券化して自己のバランスシートから切り離して市場で売り出せば、新しく資金を調達して、他のビジネス(海外直接投資などなど)にも乗り出せるのである。かように、債券化という手法を使って、市場から新たな資金調達をして、他の金融ビジネスに乗り出しているからこそ、アメリカの金融機関は日本の金融機関よりも断然収益率が高いのである。特別、錬金術を使っている訳でも何でもない。

さて、このモーゲージローン(サブプライムローン債権)をABSにしたところまでは、アメリカ国内でも、誰も悪くなかった。
とくに、不動産の債券化は、私は人類が考え出した債券のなかでも、けっこう素晴らしい部類のものだとも思う。
1990年代半ば、日本が不動産デフレに悩み続けていたころ、この不動産の債券化(証券化)の手法に慣れ親しんでいた外資系の金融機関が、日本国内の冷え切った不動産市場を買い支えてくれた。国内の機関投資家が誰も手を出さなくなった(出せなくなった?)日本の不動産市場の底値を打ってくれたのが、海外の不動産証券化という手法であったのだ。

話は、アメリカ・サブプライムローンに戻る。
サブプライムのモーゲージローンのABSだけなら、ABSの単体だけだったなら、プロの機関投資家なら、そのハイリスク性は、容易に理解できる。アメリカ以外の機関投資家でも、そのハイリスク性は、当然理解できたはずだ。
アメリカの不動産インフレが続いている限りは、このモーゲージローン(サブプライムローン債権)ABSは、比較的高い格付けでも、高値で取引され続けただろうけど、実際に、アメリカの不動産バブルが弾け始めたら、とことん単体で値を下げただろう。新しい買い手がつくまで、このABSはとことん値を下げたはずだ。中には、紙切れ同然のモーゲージABSも出ただろう。
モーゲージ(サブプライムローン)市場そのものの規模は、日本円にして3兆円、もといドルにして3兆ドル規模のようだから、それほど世界の金融システムを揺るがすほどのものではなかったはずだ。

(ただし、アメリカ不動産バブルが、今後どの程度の規模ではじけ始めるかは、まったく別問題だ。アメリカ不動産価格の今後の値下がりについては、今もって、全く予断を許さない。いまのところ、アメリカ不動産価格の下落率は、10%程度にとどまっているようだから、まだ、アメリカ経済のハードランディング(ゼロあるいはマイナス成長)への入り口は「噂」だけで、はっきりと見えたわけではない。
ただし、くれぐれも、「まだ見えていない」としか、いまのところは言えない。
たとえば、アメリカの不動産価格が3割値下がれば、アメリカ経済全体は今後数年はゼロあるいはマイナス成長をせざるをえないというプロの試算は多い。
そうなれば、今現在、海外株式ファンドなどで資産運用している人は、とうぶん3年から5年は、ぐずぐずと、なんとも退屈な運用成績を甘んじるしかない。「そんな悠長な話はまっぴらだ!」と感じる資産形成者は、ある程度、ご自分の資産を、中長期的な視野で、コモディティー関連のファンドへ移行したほうが良いかもしれないが、いまから新しく個人がコモディティーファンドへ乗り出すことは、どうなんだろうか・・・難しい局面です。)

今回のアメリカ・サブプライムローンに端を発した世界同時金融収縮の最初の極悪人は、このモーゲージABSを他のさまざまな格付けのABSなどなどと混ぜごぜにして、「毒入りまんじゅう」「毒入りミックスジュース」とも呼ぶべき新型のパック型CDO商品を作り上げたファンドマネージャーたちだ。彼らもプロだから、このモーゲージABSのハイリスクも、さらには、このモーゲージABSを含んだCDOという金融商品の危険性も十分熟知していたはずだ。
さらに、このCDOに本来より高い格付けをした格付け会社もこの悪事に大きく加担してしまった極悪人だ。元来、投資非適格(ダブルB以下の債券のこと)のモーゲージABSを、他の投資適格(トリプルB以上)の債券に混ぜこぜにして、売りだす金融機関も金融機関だが、そのCDOに、トリプルAなどの格付けを与えてしまった格付け会社も格付け会社である。
アメリカは単年度の成功報酬制度があまりに行き過ぎた。金融関係者なら、その成績いかんで、年間数十億円以上などという報酬もざらだったから、彼らCDOメーカーだったファンドマネージャーたちや格付け機関のCEOたちは、巨額の報酬をゲットしたまま、逃げ切ったことになる。なんという極悪人だろうか・・・。

CDO市場そのものが、いずれ消えてなくなるしかないだろう。いいや、消えて無くなっていただかないと困る・・・。
アメリカ以外の金融機関でも、中長期の資産形成者でも、「毒入りまんじゅう」「毒入りミックスジュース」であるCDO市場は消えてなくなってもらわないと、債券投資以外の株式投資は、たとえファンド(投資信託)を使ってでも、個人投資家は、とてもじゃないけど怖くって、なかなか手が出しづらい。
CDOという金融商品がこの世に存在する限り、おっかなびっくりで、なかなか海外の株式ファンドを「おやじ買い」できない貞子である。
ちなみに、「おやじ買い」というのは、あまりに面倒なので、ある程度損を覚悟で、ギャンブル覚悟で、根拠無く「ここが安値だ!!!大底だ!!!」と勝手に勘違いして、ハイリスク時に、ファンドや株式をそこそこ大量買いすることを言います。
後で損してクヨクヨしても、よくよく考えたら、「好きだったから!」「だって楽しかったんだもん!」以外の理由が見いだせないのが、「おやじ買い」の特徴です。
けれども、自分の財布の中身だけはちゃっかり計算しているのが、「おやじ買い」の特徴です。
けっこう、私は「おやじ買い」が嫌いじゃないですが・・・(^^;
良い子は絶対マネしないでね。

なにやら、アメリカ国内のエンロンやワールド・コムによる巨額不正会計事件が露呈して、ITバブルがはじけてしまった時に続いて、再び、ブラックスワンがアメリカ本土で再び飛び立ったわけですから、そこそこ地道な資産形成者としての私は、大きな迷惑を感じている。

大前健一、もとい大前研一さんもブログで似たようなことを記しておりますので、参考までに・・・。
ここここ
CDO市場を消滅させるには、スェーデン方式が一番良いらしいです。さすが大前健一さん!脱帽です。

大前研一さんのブログを読む前から、大前さんのブログの内容程度は、スェーデン方式以外は、だいたい気が付いていたのですが、「あぁ、こういった話(CDO市場を消滅させる話)も、ブログで記したほうが良いのだぁ〜〜」ということは、ぼんやりとしか気がつかなっかった貞子です。大前健一ブログ・・・勉強になりましたです・・・はい。

以前から、大前さんはあまり好きではなかったので、私は、大前さんの図書を一度も読んだことがありません。実をいうと好きではないというのも、これといった理由はたいしてありません。

あえて言えば、私の若かりし頃は、まっ金ぜー、もとい、マッキンゼーは飛ぶ鳥を落とす勢いでした。80年代、日本国内の大手都市銀行の一部は、「アメリカ『ではの神』」であられた大前マッキンゼーに、こぞって多額のコンサルティング料を払って、大規模組織改革に着手しました。
「ではの神」で大金をぶんどるのなら、もうちょっとまともなコンサルティングをしてほしかったように思うのは、わたしだけでしょうか・・・。
あ、そうですか、どれだけ親身にパターナリズム(家父長制)モロ出しでコンサルティングしても、日本の病理は根深かったんでしょうか・・・。あいすいませ〜〜〜ん!
って、家父長制(パターナリズム)そのものが日本の病理なのではないのでしょうか・・・。

ちなみに、『ではの神』と言うのは、初めての海外駐在員を経験した仲良しの奥さん同士が、帰国後に、お互いがお互いを戒めあって注意しあう言葉です。
「ではの神(権威主義)になってはいけない・・・」と、ね。

【追記】読者の方から、教えていただいたのですが、CDO市場は、伝統的な(ヒストリカルな)CDO市場と、そうでない新型のCDO市場とがあるようです。このブログでは、正確には、「モーゲージABSを含む新型のCDO市場が消滅したほうがよい」という発想で、記しております。くれぐれも誤解なきようにお願いします。
詳しくは、コメント欄を参照ください。
なお、一部の表現に誤記があったようなので、訂正しました。




2008/3/11  0:20

投稿者:貞子ちゃん

きちろうさん 大変親切なご指摘ありがとうございました。痛みいります。
日本円にして300兆円、ドルにして3兆ドルと書くところを、ごちゃまぜにして記していたようでう。

2008/3/10  15:09

投稿者:きちろう

貞子さんこんにちは。

>>モーゲージABS市場そのものの規模は、日本円にして3兆円程度(?)

多分こんな規模じゃないと思います。
SIFMAで見れば桁がちがいますよ

2008/2/29  13:03

投稿者:疑問があったらググりましょう

>ところで、ABSは、担保がある債権の債券だから、ABSなのではないでしょうか?
>当然、担保のない(あるいは個人の懐具合だけが担保)カードローンや自動車ローンなどは、ABSではないですよね?。

ABSに関する認識があまりにも不足してませんか?

広義ではCFを生む資産(売掛債権、リース債権、自動車ローン等も含みますよ)を裏付けに発行された証券は全部ABSになると思われますし、狭義では、自動車ローンやクレジットカードローンなど、住宅ローン(こちらを証券化するとRMBSになりますよね)や商業不動産ローン以外(こちらはCMBS)の営業資産を裏付けとして発行される証券だと思われます。

ググればいくらでもでてきますよ。

2008/2/28  18:29

投稿者:?

大前「研一」さんですよ。

2008/2/28  17:24

投稿者:貞子ちゃん

hirokyonさん、的確な補足痛み入ります。とてもとても、ありがたいです。
はずかしながら、業種分散されている担保のある投資非適格の債券ファンドの存在は知っていたのですが、あれらをヒストリカルなCDO市場と分類するのは、初耳でした。
なるほど〜〜〜です。なんとなく、モーゲージABSを含む新型CDO市場だけが、CDO市場だと私は勘違いしているいました(猛反省です)・・・。
なんか、ちょっと、頭の中がすきりしました。とても、ありがたいです!!!

実はサブプライム問題で、国内の金融機関の債券化への努力の道が再び閉ざされるのを
私は心配して、このブログをアップしました。

ところで、ABSは、担保がある債権の債券だから、ABSなのではないでしょうか?

ですから、当然、担保のない(あるいは個人の懐具合だけが担保)カードローンや自動車ローンなどは、ABSではないですよね?。

モーゲージABSと、ABSじゃない自動車ローンやカードローンなどの無担保の債券とをごちゃまぜにした新型CDOだけがCDOなのかなl〜〜〜と私は思っていました。(反省)
でも、この新型CDOって、「なにもの???」て感じですよね。
私は、新型CDOが無くなって欲しいのですわ〜〜。




2008/2/28  14:55

投稿者:hirokyon

CDOについて若干捕捉説明させてくださいネ
CDOマーケットが壊れると良くない面もあるので。

 ミックスされたCDO=ABS CDOについて、その相関性について格付機関は甘く見たのです。あまりにも数学的にリスクを把握したと言った方が良いでしょうか。定性的な分析を疎かにしたとも言えます。
 ヒストリカルに典型的なCDOは、投機非適格企業の債権(債券及びローン)を業種分散させて束ねたものです。(BB以下の企業の債権を束ねて優先劣後構造を作り上位70%程度はAAAとして販売しています。これはヒストリカルな個別企業の倒産確率に基づいたものですから妥当性があります。格付機関の得意とする個別企業の格付、長年の倒産確率データに基づいたものでした。)、この種のCDOの格付妥当性(特にローンを束ねたもの)は歴史的にも証明されています。業種分散されている事と担保が入っている事により、マクロ的な下降局面においてもかなりのデフォルト耐性があります。このCDOマーケットは残ると思います。これがないと、投資非適格企業の資金調達手段が狭まります。
 ところが、各種のABSのBBB債券を束ねて優先劣後構造を作ったとしても(ABS CDOはAAA債券などは殆ど含まれていません。AとBBBとBBの集合体でしょうかね)、マクロ的下降局面においては、根源が同じな事から(クレジットカード、住宅、車、学資ローン等全て個人の懐具合に左右されますよね)格付相関性が高く、種類分散がワークしないのです。当たり前ですよね。これを買う投資家がいる事が信じられませんでした。


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