2008/7/24  3:25

男と女の違い  痛みの研究/研究室

うつのメカニズムを調べている。目的は痛みとうつの関係 (←関連記事)であるが、うつの神経科学的メカニズムについてあまり知らない。ところが牛歩なりに分かってきたことがある。どうやらうつと痛みのメカニズムはかなり類似している。

痛みは何らかの身体的なストレス(有害な)を体が受けることで発生する警告信号としての意義がある。分かりやすい。だから痛み自身は病気でない。一方で精神的に重圧を受ける=いわゆるストレス状態になる。症状として、元気がでない。やる気もでない。これは目に見えない何かが(stressor)が体に障害を起こし警告を発している状態である。よって両者とも自分への警告信号、基本的にメカニズムは類似してもおかしくない。

長期にわたりストレス状態が続くと,徐々におかしくなる。口内炎ができる、肩が凝る、頭痛、胃潰瘍、etc。目に見えないFactorが体を痛めつける。一方、熱湯をひっくり返し足をやけどした!痛い!なら分かりやすいが、このストレスという状態、目に見えないので厄介だ。一方で何らかの原因があるからブルーだというのはさして問題でない。当たり前である。問題なのは取り立てて問題、悩みもないのにブルーだ、これが問題になる。やけどしたから痛い。これはある意味問題ない。やけどが治れば痛みもなくなる。しかしやけどが治ったのに何故か痛い、これは問題である。

いくつか論文を読んでいたがNeuroendcrinology誌におもしろい論文があった。記憶とかストレスの研究を専門とする人には当たり前の内容だが、素人にはおもしろかった。一般に極度の長期ストレスが続くとうつになるという。で。うつの人の脳を調べるとなんと脳の体積が減っていたらしい。
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詳しく調べると海馬や扁桃体など記憶や感情に関係する脳の領域でそのVolumeが減少し、さらに血流まで悪くなっているらしい。

ところがうつの患者で抗うつ剤を飲んでいる人では脳体積の減少は見られなかったそうだ。そこでこの人間での現象をもとに実験で動物で確認した。まず長期にわたりストレスをかけ、うつ状態にしておく。そして脳を調べるとストレスをかけた方(うつ)では脳の神経細胞が萎縮していたらしい。つまり小さくなってしまった。

ストレス状態ではグルココルチコイドというステロイドが上昇する。ということはこのグルココルチコイドがうつ状態しいては脳の体積減少に関与しているかも知れない?と想像できる。で、早速,正常ラットに長期投与したそうだ。すると海馬の神経細胞のサイズ増加を抑制したらしい。ストレスに関係するステロイドホルモンは脳に負の影響をもたらす。そしてこの現象は抗うつ剤を投与するとなくなるそうだ。

まだまだおもしろい話題もあった。脳の神経細胞は細胞同士をくっつける接着因子というものが細胞膜にある。文字通り接着剤みたいなものだ。ところが長期にストレス状態にさらされるとこの接着因子の発現が減るらしい。つまり細胞同士がバラバラになりお互いの蜜な連絡網が疎になり機能低下をもたらす。しかしこれはメスでは起こらず、オスでのみ起こるのである。

こういう現象から見てもやはり男と女は同じでない。そして男は長期ストレス状態に弱い。

このストレスホルモンの一つ上述のグルココルチコイド、すばらしい作用もある。有名どころでは炎症を抑制する。アレルギー症状などの抑制には有効だ。過剰にしかも長期にわたり放出されると骨、筋肉、皮膚に障害を与える。例えばステロイドを長期に服用したり軟膏を塗り続けるとステロイド焼けという状態=肌が黒くなる。つまり障害を与えている。ストレスがつづき肌が荒れるとかいうのは持続的にグルココルチコイドが上昇している事も関与する。という障害の結果、痛みが発生する。炎症をおさえ痛みを取るためのステロイドが痛みを起こすというパラドックス。

打たれ強い人というのは、ストレス状態であってもストレスホルモンが過剰に放出されることなく、平常状態を維持できる人をいうのかも知れない。



2008/7/24  22:29

投稿者:Patriotsファンのわし

ヌマンタさんへ;Steroidはややこしい薬ですね。説明書を見れば、注
射後,多幸感も得られるとありますが長期になると気分がLowにな
る。たいていの薬はそういうものですが。以前、心療内科の知人が
言ってましたが、うつな生活というのも悪くない、ちょっと感受性が
高くなるだけ。そうでない人より見えないものを感じることができ
る、etcと言ってました。。神経科学の業界ではかなりのトピックで
す。

2008/7/24  17:53

投稿者:ヌマンタ

私は長いこと、ネフローゼの治療のためステロイドを服用していました。難治性のせいで再発を繰り返し、そのたびに大量のステロイドを飲んだものです。

本来は暢気で楽天的な性分なのですが、あの頃は異常に辛かった。自己嫌悪と倦怠感で、家に閉じこもっていたものです。

後年、同じ難病患者の集まるサイトで、あれはステロイド性の鬱症状だと知って、目から鱗が落ちる思いをしたものです。

自分が鬱だったなんて、まるで気がつきませんでした。けっこう、私のような無自覚な鬱患者多いと思います。

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