2008/7/2  13:40

日本の農業は夜明け前  分類なし

資源エネルギー価格が景気良く高騰しております。
マスコミはあいも変わらず、食料品価格が高騰して困る人たちの視点からのみ情報を流しますが、極めて一面的です。
一般論として、農産品の価格が上昇すれば、農業部門の所得が伸びます。
穀物輸出国には大量のマネーが流入することになります。

さて、そう考えた場合に、これから日本はどうなるのか?

山梨県には「ほうとう」という名物があります。
要はうどんのできそこないのようなものを味噌煮込みにしてぐつぐつにして食べる鍋料理です。

これが、結構おいしい。

ところで、何故山梨県に小麦粉を使った郷土料理があるのかというと、昔は小麦を作っていたから。

かつては、稲作を行い、刈入れ後、霜が降りるまでの期間で麦を栽培していたそうです。

ところが、今では止めちゃいました。
大体甲府盆地全体がブドウ畑みたいになっているのもあるでしょうが、米や麦を作るより、野菜や果物を作ったほうが儲かるからのようです。

同様の理由で、穀物や根野菜よりも葉野菜への移行により、カロリーベースでの食料自給率は低下しました。
しかし、マスコミの「食料自給率40%」というのは、あくまでもカロリーベースの話であって、金額ベースでは自給率は70%です。

金額ベース以上にカロリーベースの自給率が落ちたのは、カロリーの高い穀物や根野菜を作っても儲からないから、です。

つまり、逆に言えば、米や麦を作って儲かるのなら、日本全国かなりの広範囲で麦は作れるはずです。

そのために必要な条件は至極簡単で、穀物価格が上昇することと、農家の大規模化が進むことです。
(農業の大規模化は、観光資源としての棚田の維持などとは切り離して考えるべきだと思います。)

また、一部の中山間地の効率の低い農地は、放棄されることもありうると考えられます。
その際には、それこそ道路予算を用いて積極的に廃屋を撤去し、農地を森林に還すなどの事業が行われてよいと思います。
場合によっては、林業が成立し得るケースもあるでしょう。

幸い、現在の主流である兼業・小規模農家の農業従事者の平均年齢は70歳程度と高く、今後数年で悉く文字通り死滅するものと思われます。
これによって、大規模化・生産性向上への最大の障害は文字通りキレイさっぱり除去されることになります。

かつては、このような小規模農家が頭数と票の力(農村の一票は都市のそれよりも重く、価値がある)で政治を動かし、強力な政治力を行使して変革を回避し続けてきました。
その挙句の果てが生産性の低さと高コスト、更に規模は小さく、自家消費用の農作物を作るだけ、という農家も決して珍しくない有様です。

まあ、極論すれば、一部の例外を除いて、日本の農家は税金を使って家庭菜園をやっているようなもんでしょう。

しかし、その状況もたぶん、終わりを迎えつつあると思います。
私は、日本の農業は7,8年後あたりからそれこそ急速に生産性の向上が進み始めるのではないかと考えています。

理由は前記のとおり、食料価格の高騰により、農業が魅力的な産業になることと、現在の主役である強力な反改革政治勢力(まさに、「抵抗勢力」)である高齢農民の死亡です。

また、産業としての農業の魅力が増せば、当然あちらこちらから資金の流入が始まり、嫌でも生産性は向上するでしょう。
この際に問題なのは、生き残りの高齢農民が改革に反対することです。
政治はできるだけ何もしないで、規制緩和に徹していただくか、最悪でもすっこんでいて貰うのが宜しいと思います。


麦や大豆は収穫前に降雨があるとその品質が落ちてしまうため、梅雨時や秋雨時を避ける必要がありますが、それでも日本ではかなり昔から、米麦二毛作は行われていました。
秋蒔き小麦ですね。
一部では、玉葱・米の二毛作なんてのも行っている地域があります。

戦国時代の文書でも、下総国幸島(現茨城県猿島)で、米麦二毛作を行っていた記録があります。
品種改良なども進んだ結果、当時可能だったことが、現在不可能とは到底考えられない。

麦についても、「ゆきちから」という銘柄であれば、品質も良い上に、降雪地域にも適応しています。

仮に、日本の水田の半分で米麦二毛作が実現し、その製品が国際価格競争力を持った場合、それでも日本は小麦を輸入する必要があるのでしょうか?

大豆や小麦の価格が上昇し、米作よりも採算性が改善されれば、北海道で米を作る農家は減るでしょう。

小麦は本州でも何とかなりそうですから、北海道では気合を入れて大豆を作ってほしいな、と思います。

また、少子高齢化により食料需要は減少傾向であり、人口の減少がこれに加わります。
供給される食料の量が変化しなくとも、需要が減れば自給率は向上します。

日本の農業と食糧事情はここ2,3年が最悪の状態で、長期的には「夜明け前」なのではないか、と考えています。



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