2008/4/30  4:04

敵国上陸。  労働

ようやく血液の数値が落ち着いてきた。病院の帰りに床屋へ。前回床屋へ行ったのは平成五年、叔父さんの葬式のとき以来。あのときは急さと悲しさのために自分で切ったひどい髪型だったので、見かねた親だったか祖母だったかに、行って来いと叩き出されたのだった。それにしても久しぶりの床屋はえらく面白かった。結婚当初、妻の友人の美容院に行っていたが、若い女性ばかりでなかなか入りづらく、いつしか行かなくなった。が、床屋だと隣に年輩の客などいれば、それと亭主の話を聞ける。いわゆる床屋談義である。別世代・別世界のひとびとのざっくばらんな話を拝聴していると、世の中いろんなことがあるということがわかる。三十分かそこらで3600円というのが高いか安いか知らないが、ひとりで坊主にするのは一時間以上かかるちょっとした難事業なのである。その三十分強を他人様の浮世話付き3600円で買ったわけだ。あまり損したという気はしない。

……と書いたのは先週の木曜のこと。
金曜の朝、成田からヘルシンキへ九時間強。二時間ほどのトランジットを経たのち、四時間ほどでバルセロナに着いた。基本的にこの十年に恩恵を蒙った「タダ旅、タダ酒」でからだを壊した、と思う。贅沢病でなくてなんだろう。とうからそういう無理の利かない年齢になっている、とよくわかっている。家を離れるだけでたんに疲れるし、精神的に参る。よほどのことがないかぎり、これが最後となる気がする。
しかし、なにしろガウディーだ。着いた日はもう薄暮で出歩くということもなかったが、翌朝ひとりでサグラダ・ファミリアへ行き、ただただ圧倒された。ああ、ここに未完成に耐えうるヨーロッパ人がいた、と。考えてみればオーソン・ウェルズ『ドン・キホーテ』を「完成」させた、といわれるスペイン人ジェス・フランコのしたことは、むしろ「未完成」の未完成たる由縁に拍車をかけた、ということかもしれない。そうしてスペインには「完成」を目指す権力の「歴史」に抵抗するエントロピーが狂おしく横溢しているのかも知れない。このエントロピーはフラグメントでできており、その集合は街にノイズを放っている。

……なあんて、たった二日でなにがわかる、というわけでQ&A一回だけですごすごとバルセロナをあとにし、日曜パリ入り。その日は通訳の松島さんとプロデューサーのジュスタンに迎えられ、飯を食ってすぐダウン。
翌月曜、朝八時より終日ロケハン。スタッフ、実に勤勉かつ優秀……といっても「うちの連中」に較べるとまだまだ、ですけど(笑)。
本日火曜も雨中市場をロケハン、続いて女優オーディション。二人会い、二人とも大変よろしくて、激しく悶絶。サラほど優秀なキャスティングディレクターはこの国にはいないのではないか、とさえ思われる。しかし、どうしたものか、と悩みつつ、こうして日記を更新……

と、これだけ間が空いたのは、忙しさはもちろんだが、ACアダプターを忘れてパソコンが開けなかったせいだ。慌てて妻に郵送してもらったが、運送屋もGW進行なのか、問い合せても今日発送した、とどこかの蕎麦屋じみた返答。到着は一週間後、と聞いて降伏し、DARTYにて69ユーロ出して購入、無事日本社会へのちっぽけな窓は開かれたのだった。めでたしめでたし。
ちなみにフランスも学生たちが休みになり家族旅行としゃれこむプチブルも少なくないらしいが、基本GWなどもちろんなく貧乏ヒマなしな大都会(=田舎者で構成)である。



2008/5/11  21:33

投稿者:金沢のcock

ちょうど、そのあたりにぼくもいましたよ!バルセロナ・アジア映画祭ですか??

コメントを書く


名前
メールアドレス
URL
コメント本文(1000文字まで)


RSS1.0