2007/3/23 23:20
Bruges: 聖ワルブルガ教会の神父 ヨーロッパ
ベルギーのブルージュを訪れたのは、もう何年も前のことになるが、その美しさは今でも強く印象に残っている。静かな運河に囲まれた、おとぎ話のような街並み。それは作り物ではなく、多くの建物に中世の年号が残っている。
5月だというのに冬のような寒さだったその日、街の中心のマルクト広場を散歩していたときのこと。一人の初老の紳士が私を呼び止め、日本から来たのかと聞いた。そうだと答えると、彼は日本語のメッセージが書かれた絵葉書を出し、何が書いてあるのか訳して欲しいと言う。私が簡単に読んであげた内容は、前にこの土地を訪れた観光客からのお礼状だった。
彼は私に礼を言い、更に、一枚のチラシを渡した。自分はこの近くの教会の神父だが、とても美しい教会なので、よかったら、見に来ませんか、と。チラシには「聖ワルブルガ教会(Sint-Walburgakerk)」とあった。
別に急ぐ用事もなかったが、知らない人に声をかけられてすぐについていく観光客ほど無防備なものはない。私は、行くところがあるから、とお断りした。彼は、後で気が向いたら来てください、と言って、お互い別の方向に歩き始めた。
それから1時間ほど散歩したと思う。小さな街なのですぐに一回りできてしまう。マルクト広場の近くに戻ってきた頃、さっきの神父にまた遭遇した。彼は笑顔で私を見た。そのとき私は、これも何かの縁かな、と思い、彼の教会を見せてもらうことにした。
聖ワルブルガ教会は、そこから数分歩いたところにあった。この街では数少ない、優美なバロック建築。(日本のブログではなぜかこの教会をゴシック建築と書いてあるものが多いが、何かのガイドブックが間違っているのだと思う。)
ルチアーノ神父は、数々の美しい細工が施された礼拝堂内を案内してくれた。特に祭壇の前のイタリア大理石の天使のレリーフの説明には熱が入る。この教会の美しさを心から誇りに思い、愛しているのが伝わってくる。
教会の見学が一通り終わると神父は、今日は時間があるからと言い、近くのダムという町まで車で案内してくれた。車窓から目に飛び込んできたのは、信じられないほど美しい、初夏の緑の風景だった。そよぐ木々と、果てしなく広がる草原。息を呑んでいる私に神父は、「前にも日本人の女の子を案内したとき、飛び上がって喜んでましたよ。」と言う。
彼の部屋は、世界中の観光客からのお礼の手紙や、写真であふれている。時にはバックパッカーを泊めてあげることもあると言っていた。私は別れ際に、帰ったら何か日本の品物を贈りますと言うと、神父は「それより、あなたが撮ったこの教会の写真を送ってください。それが一番の贈り物です」と言った。
ルチアーノ神父は、聖ワルブルガ教会を愛し、ブルージュを愛し、その愛を多くの観光客と分かち合うことを喜びとしている人だった。あれからブルージュを訪れていない。またマルクト広場で彼と遭遇する日が来るだろうか。
5月だというのに冬のような寒さだったその日、街の中心のマルクト広場を散歩していたときのこと。一人の初老の紳士が私を呼び止め、日本から来たのかと聞いた。そうだと答えると、彼は日本語のメッセージが書かれた絵葉書を出し、何が書いてあるのか訳して欲しいと言う。私が簡単に読んであげた内容は、前にこの土地を訪れた観光客からのお礼状だった。
彼は私に礼を言い、更に、一枚のチラシを渡した。自分はこの近くの教会の神父だが、とても美しい教会なので、よかったら、見に来ませんか、と。チラシには「聖ワルブルガ教会(Sint-Walburgakerk)」とあった。
別に急ぐ用事もなかったが、知らない人に声をかけられてすぐについていく観光客ほど無防備なものはない。私は、行くところがあるから、とお断りした。彼は、後で気が向いたら来てください、と言って、お互い別の方向に歩き始めた。
それから1時間ほど散歩したと思う。小さな街なのですぐに一回りできてしまう。マルクト広場の近くに戻ってきた頃、さっきの神父にまた遭遇した。彼は笑顔で私を見た。そのとき私は、これも何かの縁かな、と思い、彼の教会を見せてもらうことにした。
聖ワルブルガ教会は、そこから数分歩いたところにあった。この街では数少ない、優美なバロック建築。(日本のブログではなぜかこの教会をゴシック建築と書いてあるものが多いが、何かのガイドブックが間違っているのだと思う。)
ルチアーノ神父は、数々の美しい細工が施された礼拝堂内を案内してくれた。特に祭壇の前のイタリア大理石の天使のレリーフの説明には熱が入る。この教会の美しさを心から誇りに思い、愛しているのが伝わってくる。
教会の見学が一通り終わると神父は、今日は時間があるからと言い、近くのダムという町まで車で案内してくれた。車窓から目に飛び込んできたのは、信じられないほど美しい、初夏の緑の風景だった。そよぐ木々と、果てしなく広がる草原。息を呑んでいる私に神父は、「前にも日本人の女の子を案内したとき、飛び上がって喜んでましたよ。」と言う。
彼の部屋は、世界中の観光客からのお礼の手紙や、写真であふれている。時にはバックパッカーを泊めてあげることもあると言っていた。私は別れ際に、帰ったら何か日本の品物を贈りますと言うと、神父は「それより、あなたが撮ったこの教会の写真を送ってください。それが一番の贈り物です」と言った。
ルチアーノ神父は、聖ワルブルガ教会を愛し、ブルージュを愛し、その愛を多くの観光客と分かち合うことを喜びとしている人だった。あれからブルージュを訪れていない。またマルクト広場で彼と遭遇する日が来るだろうか。
2007/12/11 11:17
2007/7/4 2:57
投稿者:misia
ブログ拝見しました。
毎年ベルギーに1ヶ月滞在し、すでに魂はフランドリアンな私です。
ブルージュは大好きでよく訪れますが、この教会は知りませんでした。
マルクトで神父様も見たコトないです…残念。
来年はこの教会を探してみようと思ってます。
misia
毎年ベルギーに1ヶ月滞在し、すでに魂はフランドリアンな私です。
ブルージュは大好きでよく訪れますが、この教会は知りませんでした。
マルクトで神父様も見たコトないです…残念。
来年はこの教会を探してみようと思ってます。
misia

この教会、つい最近いきました。たぶん私があった神父さんも同じ方だと思います。
彼はいいました。
「日本語で、きれい、と、すばらしい、の違いはなんですか?」と。
私は答えました。
「きれい、は beautiful、すばらしい、は wonderful, splendid, marvelous, と、きれい以上の感動を伝えるときによく使います」
彼はいいました。
「ありがとう。私はあなたを忘れません。」
とても、すてきな神父でした。
私も彼をわすれません。