2007/7/22 0:52
rainy day1 オリジナル(健全・少女)
ドナルドのポストカードがあったのです。
陶器のドナルドが下駄箱の上に乗っていて、傘が傘たて代わりのバケツの中に
入れてあるという写真のポストカード。
ここに載せたかったのですが、見つかりませんでした。
そのポストカードを見て、つくったお話しです。
陶器のドナルドが下駄箱の上に乗っていて、傘が傘たて代わりのバケツの中に
入れてあるという写真のポストカード。
ここに載せたかったのですが、見つかりませんでした。
そのポストカードを見て、つくったお話しです。
2007/7/22 0:44
rainy day2 オリジナル(健全・少女)
外からはしとしとと雨の音が聞こえる。おそらく今日は一日中雨降りだろう。
「マリちゃん。下駄箱から長靴を出して、履いていきなさい」
ママの声が台所から聞こえた。それに応えるように、僕の頭の真上で元気のいい声が
聞こえた。
「ハーイ」
下駄箱の一番下の段にマリちゃんの長靴は入っている。ピンクの色のかわいいやつだ。
小さな赤色のリボンがブーツの上のところについているんだ。ちょうどマリちゃんの
ふくらはぎの真ん中ぐらいまでの長靴。確かこの長靴はこの間のマリちゃんの誕生日に
お兄ちゃんがプレゼントしたやつだから、1週間前の大雨に続いて2度目の登校に
なるのか。
「パパは長靴をはかないの」
長靴の隣にパパの革靴があった。パパはそれを履いて、傘を持って、
玄関を出ようとしていた。
「パパの靴は不思議な靴なんだ。それにパパは上手に歩けるから、長靴は
必要ないんだよ」
それでも僕は知っている。今のパパはスラックスでうまく隠れているけど、
この間の雨の日、会社から帰ってきたとき、玄関で派手に転んだんだ。右のすねの
ところに大きなあざが残っている。
「転ぶ」ということでは不思議な靴だな。
「さて、一緒に途中まで行こうか、マリ」
マリちゃんの黄色い通学帽をパパは軽くたたいた。マリちゃんはうなずいて、
傘たてから黄色い傘を取り出した。
「いってきまーす」
マリちゃんは下駄箱の上にいる僕の頭をなでた。マリちゃんの手はあったかくて、
小さい。マリちゃんはお気に入りの僕をここにおいてくれた。おかげで僕は
毎日一番にマリちゃんをお迎えできるってわけ。
「パパの傘って大きいねえ」
マリちゃんはパパの後ろをついて、玄関を出ていった。
いってらっしゃい、マリちゃん。
今日も学校を楽しんできてね、あいにくの雨降りだけれど。
僕は今日もここでマリちゃんの帰りを待っているよ。
「マリちゃん。下駄箱から長靴を出して、履いていきなさい」
ママの声が台所から聞こえた。それに応えるように、僕の頭の真上で元気のいい声が
聞こえた。
「ハーイ」
下駄箱の一番下の段にマリちゃんの長靴は入っている。ピンクの色のかわいいやつだ。
小さな赤色のリボンがブーツの上のところについているんだ。ちょうどマリちゃんの
ふくらはぎの真ん中ぐらいまでの長靴。確かこの長靴はこの間のマリちゃんの誕生日に
お兄ちゃんがプレゼントしたやつだから、1週間前の大雨に続いて2度目の登校に
なるのか。
「パパは長靴をはかないの」
長靴の隣にパパの革靴があった。パパはそれを履いて、傘を持って、
玄関を出ようとしていた。
「パパの靴は不思議な靴なんだ。それにパパは上手に歩けるから、長靴は
必要ないんだよ」
それでも僕は知っている。今のパパはスラックスでうまく隠れているけど、
この間の雨の日、会社から帰ってきたとき、玄関で派手に転んだんだ。右のすねの
ところに大きなあざが残っている。
「転ぶ」ということでは不思議な靴だな。
「さて、一緒に途中まで行こうか、マリ」
マリちゃんの黄色い通学帽をパパは軽くたたいた。マリちゃんはうなずいて、
傘たてから黄色い傘を取り出した。
「いってきまーす」
マリちゃんは下駄箱の上にいる僕の頭をなでた。マリちゃんの手はあったかくて、
小さい。マリちゃんはお気に入りの僕をここにおいてくれた。おかげで僕は
毎日一番にマリちゃんをお迎えできるってわけ。
「パパの傘って大きいねえ」
マリちゃんはパパの後ろをついて、玄関を出ていった。
いってらっしゃい、マリちゃん。
今日も学校を楽しんできてね、あいにくの雨降りだけれど。
僕は今日もここでマリちゃんの帰りを待っているよ。
2007/7/19 9:02
最終電車2 オリジナル(BL・そのほか)
久し振りの更新です。
電車通勤を一週間のうちで何度かするようになって、ネタを考える時間が
増えました。同時に、読書の時間も睡眠時間も増えました。
ケータイは便利です。ヲタクな小説を読んでても、書いててもばれません。
電車通勤を一週間のうちで何度かするようになって、ネタを考える時間が
増えました。同時に、読書の時間も睡眠時間も増えました。
ケータイは便利です。ヲタクな小説を読んでても、書いててもばれません。
2007/7/19 8:57
最終電車2 オリジナル(BL・そのほか)
喧嘩をした。原因なんかはっきりしない。それくらい些細なことだったのだ、きっかけは。
文化祭の準備で大学を出たのは夜中に近かった。だから電車は最終電車。人の少ない電車の
中で、僕たちは人知れず、喧嘩した。
僕たちは同じアパートの隣りの部屋同士に住む。引越しの挨拶をしたときに同じ大学に
通うことが分かり、急速に親しくなった。
電車に乗って3駅目。ふたり並んで長い座席の中央に座っていたのに、怒った僕が
まず座席の端に移った。離れたかった。確か、カチンとくることを云われたのだ。
そのデリカシーのかけらもない台詞に、僕は怒ったのだろう。ただその台詞がなんだったのかは
本当に思い出せない。あいつに問いただすなんてことは出来ない。やりたくない。
僕はそっぽを向いて携帯をいじり始める。別に目的もないから、読み掛けのケータイ小説に
アクセスして読み始めた。
ふと気がつくと、あいつも反対の端に移動していた。僕たちの距離は、最大限に開いた。
同じアパートに帰るのに、なんという距離。
僕は悪くない。あいつが余計なことを云うからだ。絶対に僕からは近づかない。
それから2駅。降りる駅のひとつ手前になって、メールが来た。あいつからだ。
気づかれないように、横目でちらとあいつを見る。携帯を閉じて、狸寝入りをしている。
一緒に帰ろう?
ただそれだけなのに、僕はもう蕩けそうに胸が熱くなった。謝る言葉なんかひとつもないのに。それなのに、僕はもう許してしまえる。
バカみたいだけど。あいつの一言一言に喜んだり、怒ったり。
ああ、やっぱり僕はこの人が好きなんだ。
そう心から思える瞬間がある。
僕は携帯を閉じた。
構内に電車が静かに入る。僕は立ち上がって、あいつに近づいた。あいつが立ち上がる直前、
僕は持っている手提げ鞄をあいつの顔の横まで持ち上げて、自分の顔をあいつに
近づけて、あいつにキスをした。
仲直りのキス。
電車の扉が開く時には、僕らの距離はなかった。
文化祭の準備で大学を出たのは夜中に近かった。だから電車は最終電車。人の少ない電車の
中で、僕たちは人知れず、喧嘩した。
僕たちは同じアパートの隣りの部屋同士に住む。引越しの挨拶をしたときに同じ大学に
通うことが分かり、急速に親しくなった。
電車に乗って3駅目。ふたり並んで長い座席の中央に座っていたのに、怒った僕が
まず座席の端に移った。離れたかった。確か、カチンとくることを云われたのだ。
そのデリカシーのかけらもない台詞に、僕は怒ったのだろう。ただその台詞がなんだったのかは
本当に思い出せない。あいつに問いただすなんてことは出来ない。やりたくない。
僕はそっぽを向いて携帯をいじり始める。別に目的もないから、読み掛けのケータイ小説に
アクセスして読み始めた。
ふと気がつくと、あいつも反対の端に移動していた。僕たちの距離は、最大限に開いた。
同じアパートに帰るのに、なんという距離。
僕は悪くない。あいつが余計なことを云うからだ。絶対に僕からは近づかない。
それから2駅。降りる駅のひとつ手前になって、メールが来た。あいつからだ。
気づかれないように、横目でちらとあいつを見る。携帯を閉じて、狸寝入りをしている。
一緒に帰ろう?
ただそれだけなのに、僕はもう蕩けそうに胸が熱くなった。謝る言葉なんかひとつもないのに。それなのに、僕はもう許してしまえる。
バカみたいだけど。あいつの一言一言に喜んだり、怒ったり。
ああ、やっぱり僕はこの人が好きなんだ。
そう心から思える瞬間がある。
僕は携帯を閉じた。
構内に電車が静かに入る。僕は立ち上がって、あいつに近づいた。あいつが立ち上がる直前、
僕は持っている手提げ鞄をあいつの顔の横まで持ち上げて、自分の顔をあいつに
近づけて、あいつにキスをした。
仲直りのキス。
電車の扉が開く時には、僕らの距離はなかった。
2007/5/4 17:57
露天風呂1 犬佐野
4月の下旬に、社員旅行で福島の温泉旅館に行きました。
温泉といったら、佐野くんでしょう!?
と、妹に云ったら、妹は呆れておりましたが、
いやあ、露天風呂はよかったよ。目が悪いし、真夜中に入ったので、
何にも見えていませんが。だから、景色に関する描写がありません。(バカか)
飲み会のあとなので、入れる時間がそこしかないのよ。
福島の水族館で、「ナントカ・エンドリケリィ」という
魚を見つけて、叫んでしまいました。
温泉といったら、佐野くんでしょう!?
と、妹に云ったら、妹は呆れておりましたが、
いやあ、露天風呂はよかったよ。目が悪いし、真夜中に入ったので、
何にも見えていませんが。だから、景色に関する描写がありません。(バカか)
飲み会のあとなので、入れる時間がそこしかないのよ。
福島の水族館で、「ナントカ・エンドリケリィ」という
魚を見つけて、叫んでしまいました。
2007/5/4 17:45
露天風呂2 犬佐野
大きな旅館ではあったが、従業員はみな上品そうに振る舞っていた。ロビーで生演奏される
琴の音に、佐野はこの旅館がすっかり気に入ってしまったようだった。
荷物を持ったまま、琴を弾いている女性の目の前に陣取って、佐野は琴の音に
聞き入っていた。犬丸は苦笑しながら、大きなスポーツバッグを佐野からそっと奪った。
そして、佐野に耳打ちする。
「佐野くんはここにいて大丈夫ですよ。僕は荷物を置いたら、また戻ってくるから」
部屋に行くと告げられて、佐野は瞬間的に犬丸を振り返る。犬丸は予想もしない
佐野の行動に、少し引いた。
「一緒に行く。琴はいつでも聴ける」
佐野のスポーツバッグを持っている犬丸の手を、佐野は上から握り締める。
犬丸と過ごせる時間は限られている、そう言外に含めた。
「……はい」
ほんわりと犬丸は微笑んだ。
部屋に行くとすぐに、仲居が挨拶にやってきた。
研修中の仲居でいかにも高校を卒業したばかりという幼い顔立ちだった。もしかすると、
大学1年生の佐野と同い年なのかもしれない。
研修中というから、こちらも失敗しないかと緊張してしまい、犬丸などは笑顔すら
引きつっていた。
予定していた台詞が出てこないことはあったが、大きな失敗もなく、仲居は部屋を出て行った。
「露天風呂がございまして」
そんな仲居の言葉に、佐野は目を輝かせた。
分かってはいたが、今回の旅行は温泉三昧になりそうだと、犬丸は笑った。
仲居が出て行って、少し旅館の中を散策して、それから、佐野は待ちきれずに
「露天風呂」を連呼した。
岩盤浴も出来るようだったが、佐野は意外にも辞退した。犬丸が珍しいなと思っていると、
真っ赤な顔で佐野が「お天道様の下で素っ裸は恥ずかしい」といかにもな返答をした。
大浴場の外には露天風呂が4つあった。2つは中国の雲南省から輸送してきた一枚岩を
くりぬいて浴槽にしたものである。熱めの湯とぬるめの湯の2種類が揃っている。
そして、奥にある残りの2つは、どこにでもある、いくつもの岩で浴槽を作るタイプのものだ。
それも熱めとぬるめの湯の2種類が揃っていた。
山はこの露天風呂の反対側に位置するから、見ることは出来ないが、抜けるような青空が
広がっている。夜に入れば、天然のプラネタリウムが堪能できるだろう。
佐野は「綺麗に身体、あろうてから入らなあかん」と犬丸に強めに云った。しきたりどおり、
マナーはきちんと守らないといけない、譲れない部分だ。
そのくせ、佐野はあっという間に身体を洗って外への、つまり露天風呂へと続く扉を
開けていた。
「佐野くん、きちんと洗いましたか」
とりあえずシャワーをかけるだけになってなければいいが、と思って、頭を洗いながら、
犬丸は聞いた。
「おう。耳の後ろもあろうたで」
嬉々として、佐野は返事をする。
佐野から遅れること10分。犬丸も露天風呂へ入ってきた。
ふたりの他に客は少ない。ふたりが風呂へ入ってきたときは、大勢のおじいちゃんが
いたのだが、ちょうど風呂上りの人が多かったようで、風呂場混雑のピークは過ぎていたのだ。
佐野は入り口手前の一枚岩の風呂に入っていた。
すぐ隣りにある熱めの一枚岩の風呂にはおじいちゃんがひとりいる。
(佐野くんも時が経つと、ああなるのかなあ。しわしわは嫌だなあ)
佐野に失礼なんだか、初老の男性に失礼なんだか、よく分からない犬丸の思考だった。
ただそれは、佐野を、佐野の裸を意識しないための思考でもあった。
佐野と風呂に入っている。佐野と風呂に入るのは初めてではなかったが、
旅行に来て入る風呂はやはり緊張する。
風はなく、空に雲も少なく、抜けるような青い空。夜中に入ったら、本当に満天の星空が
見えるのかもしれない。
佐野は浴槽に肘をついて、空を眺めていたり、身体があつくなると、臍の辺りまでを外に出して
涼んだりしていた。
ふたりの間に会話はない。佐野は犬丸を見ようともしない。かといって、露天風呂から
あがるわけでもない。
犬丸も空を見て過ごす。なるべく佐野を見ないで、佐野の裸を意識しないようにする。
微妙な距離を保っていたが、それをやぶったのは犬丸だった。
きっかけは、隣にいた男性が風呂を出たこと。
露天風呂のエリアにはふたりきり。
「佐野くん」
それとわかる声音で佐野を呼ぶ。そして、少し佐野に近づいた。
「アホ。ここではやらん」
佐野はザバッと立ち上がると、奥の露天風呂に入り直す。長く入っていたせいで、
身体は真っ赤だ。
のぼせないといいけれど、と頭の片隅で、犬丸は大事な恋人の体調を心配する。
考えてみれば、犬丸が露天風呂に来るまで、佐野はずっと露天風呂に入っていたのだ。
「佐野く〜ん」
情けない声を犬丸が出す。
それでも犬丸は負けじと佐野を追って、奥の露天風呂に向かう。
細く、風が吹く。夕方になると、まだまだ冷たい。
その風に犬丸は身をすくませて、急いで、露天風呂に足をつける。入ったところで、
佐野に睨み付けられた。
犬丸は佐野に近づけなくなる。
「アホゥ。ここは露天風呂や。誰が来るか分からんやろ。
だからキスだけや」
佐野は、犬丸に近づくと、犬丸の肩を押させて、唇を重ねた。
琴の音に、佐野はこの旅館がすっかり気に入ってしまったようだった。
荷物を持ったまま、琴を弾いている女性の目の前に陣取って、佐野は琴の音に
聞き入っていた。犬丸は苦笑しながら、大きなスポーツバッグを佐野からそっと奪った。
そして、佐野に耳打ちする。
「佐野くんはここにいて大丈夫ですよ。僕は荷物を置いたら、また戻ってくるから」
部屋に行くと告げられて、佐野は瞬間的に犬丸を振り返る。犬丸は予想もしない
佐野の行動に、少し引いた。
「一緒に行く。琴はいつでも聴ける」
佐野のスポーツバッグを持っている犬丸の手を、佐野は上から握り締める。
犬丸と過ごせる時間は限られている、そう言外に含めた。
「……はい」
ほんわりと犬丸は微笑んだ。
部屋に行くとすぐに、仲居が挨拶にやってきた。
研修中の仲居でいかにも高校を卒業したばかりという幼い顔立ちだった。もしかすると、
大学1年生の佐野と同い年なのかもしれない。
研修中というから、こちらも失敗しないかと緊張してしまい、犬丸などは笑顔すら
引きつっていた。
予定していた台詞が出てこないことはあったが、大きな失敗もなく、仲居は部屋を出て行った。
「露天風呂がございまして」
そんな仲居の言葉に、佐野は目を輝かせた。
分かってはいたが、今回の旅行は温泉三昧になりそうだと、犬丸は笑った。
仲居が出て行って、少し旅館の中を散策して、それから、佐野は待ちきれずに
「露天風呂」を連呼した。
岩盤浴も出来るようだったが、佐野は意外にも辞退した。犬丸が珍しいなと思っていると、
真っ赤な顔で佐野が「お天道様の下で素っ裸は恥ずかしい」といかにもな返答をした。
大浴場の外には露天風呂が4つあった。2つは中国の雲南省から輸送してきた一枚岩を
くりぬいて浴槽にしたものである。熱めの湯とぬるめの湯の2種類が揃っている。
そして、奥にある残りの2つは、どこにでもある、いくつもの岩で浴槽を作るタイプのものだ。
それも熱めとぬるめの湯の2種類が揃っていた。
山はこの露天風呂の反対側に位置するから、見ることは出来ないが、抜けるような青空が
広がっている。夜に入れば、天然のプラネタリウムが堪能できるだろう。
佐野は「綺麗に身体、あろうてから入らなあかん」と犬丸に強めに云った。しきたりどおり、
マナーはきちんと守らないといけない、譲れない部分だ。
そのくせ、佐野はあっという間に身体を洗って外への、つまり露天風呂へと続く扉を
開けていた。
「佐野くん、きちんと洗いましたか」
とりあえずシャワーをかけるだけになってなければいいが、と思って、頭を洗いながら、
犬丸は聞いた。
「おう。耳の後ろもあろうたで」
嬉々として、佐野は返事をする。
佐野から遅れること10分。犬丸も露天風呂へ入ってきた。
ふたりの他に客は少ない。ふたりが風呂へ入ってきたときは、大勢のおじいちゃんが
いたのだが、ちょうど風呂上りの人が多かったようで、風呂場混雑のピークは過ぎていたのだ。
佐野は入り口手前の一枚岩の風呂に入っていた。
すぐ隣りにある熱めの一枚岩の風呂にはおじいちゃんがひとりいる。
(佐野くんも時が経つと、ああなるのかなあ。しわしわは嫌だなあ)
佐野に失礼なんだか、初老の男性に失礼なんだか、よく分からない犬丸の思考だった。
ただそれは、佐野を、佐野の裸を意識しないための思考でもあった。
佐野と風呂に入っている。佐野と風呂に入るのは初めてではなかったが、
旅行に来て入る風呂はやはり緊張する。
風はなく、空に雲も少なく、抜けるような青い空。夜中に入ったら、本当に満天の星空が
見えるのかもしれない。
佐野は浴槽に肘をついて、空を眺めていたり、身体があつくなると、臍の辺りまでを外に出して
涼んだりしていた。
ふたりの間に会話はない。佐野は犬丸を見ようともしない。かといって、露天風呂から
あがるわけでもない。
犬丸も空を見て過ごす。なるべく佐野を見ないで、佐野の裸を意識しないようにする。
微妙な距離を保っていたが、それをやぶったのは犬丸だった。
きっかけは、隣にいた男性が風呂を出たこと。
露天風呂のエリアにはふたりきり。
「佐野くん」
それとわかる声音で佐野を呼ぶ。そして、少し佐野に近づいた。
「アホ。ここではやらん」
佐野はザバッと立ち上がると、奥の露天風呂に入り直す。長く入っていたせいで、
身体は真っ赤だ。
のぼせないといいけれど、と頭の片隅で、犬丸は大事な恋人の体調を心配する。
考えてみれば、犬丸が露天風呂に来るまで、佐野はずっと露天風呂に入っていたのだ。
「佐野く〜ん」
情けない声を犬丸が出す。
それでも犬丸は負けじと佐野を追って、奥の露天風呂に向かう。
細く、風が吹く。夕方になると、まだまだ冷たい。
その風に犬丸は身をすくませて、急いで、露天風呂に足をつける。入ったところで、
佐野に睨み付けられた。
犬丸は佐野に近づけなくなる。
「アホゥ。ここは露天風呂や。誰が来るか分からんやろ。
だからキスだけや」
佐野は、犬丸に近づくと、犬丸の肩を押させて、唇を重ねた。
2007/4/8 17:56
里桜1 犬佐野
塾のちらしを、一軒一軒のポストに入れる仕事を一日中やりました。
足がパンパンだよ。(;´ρ`) グッタリ
桜が綺麗でした。そして、犬佐野です。
ポスティングしながら、妄想大列車が脳内を走ります。だから、皆が、ポスティングが
苦痛だという中、結構楽しんでいます。筋肉痛は困りますが。
さらに。
佐野さんという表札を見つけました。それはいいのですが、表札に、
犬の足跡が!!
飾りの絵でついていたのです!!
びっくりした、おどろいた。
写メ撮ろうとしましたが、さすがにそれはやめました。
バカップルです。
佐野くんから犬丸にも「あ〜ん」がある予定でしたが、うまく繋がらず、いれられませんでした。機会があれば、是非、やりたいです。
『里桜2』が本編です。
足がパンパンだよ。(;´ρ`) グッタリ
桜が綺麗でした。そして、犬佐野です。
ポスティングしながら、妄想大列車が脳内を走ります。だから、皆が、ポスティングが
苦痛だという中、結構楽しんでいます。筋肉痛は困りますが。
さらに。
佐野さんという表札を見つけました。それはいいのですが、表札に、
犬の足跡が!!
飾りの絵でついていたのです!!
びっくりした、おどろいた。
写メ撮ろうとしましたが、さすがにそれはやめました。
バカップルです。
佐野くんから犬丸にも「あ〜ん」がある予定でしたが、うまく繋がらず、いれられませんでした。機会があれば、是非、やりたいです。
『里桜2』が本編です。
2007/4/8 17:29
里桜2 犬佐野
「佐野くん? 僕の顔に何かついていますか?」
お茶を飲もうと、二人分の紅茶をマグカップに注いで、ベッドの脇の小さなテーブルに戻ると、
佐野がじっと犬丸を見つめている。
犬丸はマグカップを置きながら、小首をかしげる。
「なあ、やっぱり、ワンコには桜色が似合う、思う」
突然に「やっぱり」などと云われても、犬丸には見当もつかない。
座ろうと、テーブルに手を着いて前かがみになった犬丸に佐野が手を伸ばして、
髪の毛に触れる。
「え? 何のこと?」
佐野が髪の毛に触れて、いじりだしたから、犬丸は苦しい体勢を強いられている。それでも、
何も云わずに佐野のやりたいようにさせる。
「学校でな、俺、一番、窓側の席なんや。校庭にある桜の木が、一番よう見える席。風が
吹いてな、桜の花びらが校庭一面に舞うんや。ごっつ、きれいやで」
犬丸の質問の答えにもなっていない、返事が返ってくる。
くすっと笑った犬丸に、一瞬佐野の手が止まる。その隙に犬丸は体勢を変え、カーペットの上に
腰を落ち着ける。さっきまで犬丸の髪をいじっていた右手がくるくると空中で円を描くように
回される。明らかに犬丸のくすり笑いに抗議をしていた。
「分かった。佐野くん、『はなみ』行きましょう」
小林からある程度の年中行事は聞いていたし、嘘を教えられても困るから自らも
勉強していた。日本人は花を愛でるのが好きらしい。わざわざ花を見るために遠くまで
旅行する人もいると聞いた。
「僕の髪が、本当に桜に合うのか、見てみれば分かりますよ」
近所のスーパーで弁当と飲み物を調達し、佐野のお気に入りの桜の木がある土手に
向かった。
土手はコンクリート舗装され、その両脇に桜並木が出来上がっている。土手のすぐ下、
川岸まで10メートルくらいはある河原に、一本だけ咲いている桜は、すぐそばにご丁寧に
ベンチまで用意されていた。二人でそこに陣取った。川に向かって座るから、花見というより
川見やな、と佐野は笑った。
3月下旬とはいえ、川のすぐそばだから、風が吹けば、肌寒かった。
佐野の弁当はちらし寿司、犬丸のは松花堂。
佐野は「この彩、春っぽい」という理由でちらし寿司を選んだ。
犬丸は「これなら、佐野くんにも色々味見させてあげられる」という理由で。
神の幸せは随分容易く手に入る。
「ワンコの弁当、色々入っとるな」
ホラと、神はほくそ笑んだ。
「これ、味見させて」
選んだのは、巾着。錦卵でかやくご飯を包んである。
「いいですよ」
弁当を佐野に差し出す。途端に佐野はむくれた。
「いやや。ワンコが食べさして」
心臓が音を立てて飛び上がった。
まるで幼稚園児の駄々だ。
「佐、佐野くん?」
佐野の意図がつかめず、思わず聞き返す。
「早う」
佐野はこちらに向けて、口を開く。ご丁寧に目は瞑っている。
「ちょ、ちょっと待って。これ、一口じゃ無理だから」
犬丸は周りに人がいないことを確認した。こんなところ、嬉しいけれど、見られたくない。
ふと、箸をとめた。少し考えて、犬丸は脇にあるビニール袋をがさごそと弄り出した。
「はい」
口の中に、塊が入る。佐野は口を閉じた。
「??」
巾着ではないことにすぐに気がついたのだろう。
「何や、これ。餅か?……桜餅?」
正解を云い当ててくれて、犬丸はにっこりと微笑んだ。
「さっき、お弁当と一緒に買いました。お弁当、食べ終わったら、
きちんと食べさせてあげるからね。はい、今度はさっきの巾着」
佐野はもう一度、口を開けた。今度はきちんと卵の味がする。
「うん。美味い」
「はああ、ごっそさん」
佐野は満足げな溜め息を漏らす。
「おそまつさまでした」
犬丸はそれに律儀に返事をし、佐野に新しい缶のお茶を渡す。ところが、それを手で、
いらないと佐野は遮ってしまう。
「よいしょっと」
佐野は、犬丸の腿を枕に、ベンチに寝そべった。
「佐野くん?」
犬丸を見上げて、佐野は二カッと笑う。
「ワンコの髪と桜、検証せな」
とか云いながら、佐野は大きなあくびをひとつ。食べ終わって満足したから、食欲の次の
睡眠欲が出てきたのだろう。
暫くは強い風も吹かず、桜も舞い散らない。ぽかぽか陽気に、佐野は寝息を立て始めた。
犬丸は飽きもせずに佐野の黒髪を梳く。
土手の上を犬の散歩で人が歩いていく。河原では少年たちがサッカーをしている。川には
釣り人だろう。川と河原を隔てるグレーの金網フェンスを乗り越えている。
平和だなあ。
犬丸はそう感じずにはいられなかった。
佐野くんと一緒にいる、バトルではなく。仕事上の心配は、それはそれは、
これでもかというほど山とあるけれど、ここにくれば、佐野くんに会えば、佐野くんといる
一瞬間だけは、仕事を忘れられる。一人の人として、佐野くんの傍にいられる。これほどの
幸せがるだろうか、これ以上の幸せなんてあるのだろうか。
「ほら」
佐野が目を開けて、犬丸の前髪を捕まえる。
「云うた通りや」
川からの冷たい風が、桜を舞い散らせた。犬丸の髪の毛も一緒に舞う。
あまりの花びらの凄さに、犬丸は息を呑んでそれを見ていた。
「ワンコの髪の毛の色と、桜の淡い色がちゃんと合う」
桜の花びらは、風がやんでも勢いに乗って、舞い続けた。そのうちのいくらかは二人の上に、
佐野の上に舞い散る。
「佐野くんの髪の毛にだって、合いますよ。まるで雪が降ったみたいだ」
犬丸の前髪を弄っている佐野の右手を捕まえて、犬丸はキスをする。
●●おまけ●●
「ワンコ、変なとこ、固くすんなや」
「ス、スミマセン……」
食欲、睡眠欲の次は、性欲?
お茶を飲もうと、二人分の紅茶をマグカップに注いで、ベッドの脇の小さなテーブルに戻ると、
佐野がじっと犬丸を見つめている。
犬丸はマグカップを置きながら、小首をかしげる。
「なあ、やっぱり、ワンコには桜色が似合う、思う」
突然に「やっぱり」などと云われても、犬丸には見当もつかない。
座ろうと、テーブルに手を着いて前かがみになった犬丸に佐野が手を伸ばして、
髪の毛に触れる。
「え? 何のこと?」
佐野が髪の毛に触れて、いじりだしたから、犬丸は苦しい体勢を強いられている。それでも、
何も云わずに佐野のやりたいようにさせる。
「学校でな、俺、一番、窓側の席なんや。校庭にある桜の木が、一番よう見える席。風が
吹いてな、桜の花びらが校庭一面に舞うんや。ごっつ、きれいやで」
犬丸の質問の答えにもなっていない、返事が返ってくる。
くすっと笑った犬丸に、一瞬佐野の手が止まる。その隙に犬丸は体勢を変え、カーペットの上に
腰を落ち着ける。さっきまで犬丸の髪をいじっていた右手がくるくると空中で円を描くように
回される。明らかに犬丸のくすり笑いに抗議をしていた。
「分かった。佐野くん、『はなみ』行きましょう」
小林からある程度の年中行事は聞いていたし、嘘を教えられても困るから自らも
勉強していた。日本人は花を愛でるのが好きらしい。わざわざ花を見るために遠くまで
旅行する人もいると聞いた。
「僕の髪が、本当に桜に合うのか、見てみれば分かりますよ」
近所のスーパーで弁当と飲み物を調達し、佐野のお気に入りの桜の木がある土手に
向かった。
土手はコンクリート舗装され、その両脇に桜並木が出来上がっている。土手のすぐ下、
川岸まで10メートルくらいはある河原に、一本だけ咲いている桜は、すぐそばにご丁寧に
ベンチまで用意されていた。二人でそこに陣取った。川に向かって座るから、花見というより
川見やな、と佐野は笑った。
3月下旬とはいえ、川のすぐそばだから、風が吹けば、肌寒かった。
佐野の弁当はちらし寿司、犬丸のは松花堂。
佐野は「この彩、春っぽい」という理由でちらし寿司を選んだ。
犬丸は「これなら、佐野くんにも色々味見させてあげられる」という理由で。
神の幸せは随分容易く手に入る。
「ワンコの弁当、色々入っとるな」
ホラと、神はほくそ笑んだ。
「これ、味見させて」
選んだのは、巾着。錦卵でかやくご飯を包んである。
「いいですよ」
弁当を佐野に差し出す。途端に佐野はむくれた。
「いやや。ワンコが食べさして」
心臓が音を立てて飛び上がった。
まるで幼稚園児の駄々だ。
「佐、佐野くん?」
佐野の意図がつかめず、思わず聞き返す。
「早う」
佐野はこちらに向けて、口を開く。ご丁寧に目は瞑っている。
「ちょ、ちょっと待って。これ、一口じゃ無理だから」
犬丸は周りに人がいないことを確認した。こんなところ、嬉しいけれど、見られたくない。
ふと、箸をとめた。少し考えて、犬丸は脇にあるビニール袋をがさごそと弄り出した。
「はい」
口の中に、塊が入る。佐野は口を閉じた。
「??」
巾着ではないことにすぐに気がついたのだろう。
「何や、これ。餅か?……桜餅?」
正解を云い当ててくれて、犬丸はにっこりと微笑んだ。
「さっき、お弁当と一緒に買いました。お弁当、食べ終わったら、
きちんと食べさせてあげるからね。はい、今度はさっきの巾着」
佐野はもう一度、口を開けた。今度はきちんと卵の味がする。
「うん。美味い」
「はああ、ごっそさん」
佐野は満足げな溜め息を漏らす。
「おそまつさまでした」
犬丸はそれに律儀に返事をし、佐野に新しい缶のお茶を渡す。ところが、それを手で、
いらないと佐野は遮ってしまう。
「よいしょっと」
佐野は、犬丸の腿を枕に、ベンチに寝そべった。
「佐野くん?」
犬丸を見上げて、佐野は二カッと笑う。
「ワンコの髪と桜、検証せな」
とか云いながら、佐野は大きなあくびをひとつ。食べ終わって満足したから、食欲の次の
睡眠欲が出てきたのだろう。
暫くは強い風も吹かず、桜も舞い散らない。ぽかぽか陽気に、佐野は寝息を立て始めた。
犬丸は飽きもせずに佐野の黒髪を梳く。
土手の上を犬の散歩で人が歩いていく。河原では少年たちがサッカーをしている。川には
釣り人だろう。川と河原を隔てるグレーの金網フェンスを乗り越えている。
平和だなあ。
犬丸はそう感じずにはいられなかった。
佐野くんと一緒にいる、バトルではなく。仕事上の心配は、それはそれは、
これでもかというほど山とあるけれど、ここにくれば、佐野くんに会えば、佐野くんといる
一瞬間だけは、仕事を忘れられる。一人の人として、佐野くんの傍にいられる。これほどの
幸せがるだろうか、これ以上の幸せなんてあるのだろうか。
「ほら」
佐野が目を開けて、犬丸の前髪を捕まえる。
「云うた通りや」
川からの冷たい風が、桜を舞い散らせた。犬丸の髪の毛も一緒に舞う。
あまりの花びらの凄さに、犬丸は息を呑んでそれを見ていた。
「ワンコの髪の毛の色と、桜の淡い色がちゃんと合う」
桜の花びらは、風がやんでも勢いに乗って、舞い続けた。そのうちのいくらかは二人の上に、
佐野の上に舞い散る。
「佐野くんの髪の毛にだって、合いますよ。まるで雪が降ったみたいだ」
犬丸の前髪を弄っている佐野の右手を捕まえて、犬丸はキスをする。
●●おまけ●●
「ワンコ、変なとこ、固くすんなや」
「ス、スミマセン……」
食欲、睡眠欲の次は、性欲?
2007/4/7 0:55
リンクについて リンクについて
リンクはフリーです。
でも,ご連絡いただければ,正木は尻尾を振って喜びます。
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2007/4/5 0:08
ごあいさつ はじめに
はじめまして,こんにちは。「AkAsh」の正木翔です。
こちらは,二次元キャラ妄想創作小説ブログです。
「同人誌」「BL」「ヤオイ」の言葉に免疫がない人は申し訳ありませんが,
ご遠慮ください。どんとこいっという人は大歓迎です。
犬佐野にはまりまして,始めてしまいました。
ショートストーリーを中心に発表していきたいと思っています。
いつまで続くか,はたまた新たな出会いはあるのか。
二次元キャラにはまると,愛は長く続くのが私の法則です。
犬佐野以外にも,紙ベースで発表するほど量のたまっていない,
また時期を逃してしまった,小説を発表していきます。
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「同人誌」「BL」「ヤオイ」の言葉に免疫がない人は申し訳ありませんが,
ご遠慮ください。どんとこいっという人は大歓迎です。
犬佐野にはまりまして,始めてしまいました。
ショートストーリーを中心に発表していきたいと思っています。
いつまで続くか,はたまた新たな出会いはあるのか。
二次元キャラにはまると,愛は長く続くのが私の法則です。
犬佐野以外にも,紙ベースで発表するほど量のたまっていない,
また時期を逃してしまった,小説を発表していきます。
