2008/8/7  9:30

ハリー・ポッターと脱税  経済・金融・税制

世界中で大人気のハリー・ポッターの最終巻が刊行され、売れ行き好評なようだ。

日本での版権を有する静山社の代表でもある翻訳者の脱税事件が、新聞の紙面を賑わしてから一年余りがった。結果は公表されていないため、私も知りません。

ですが、国際課税の現実を知る意味で興味深い事件でしたから、公表されているデーターを元に私なりに解説してみたいと思います。

通常、翻訳による報酬は、出版社から源泉所得税を天引きされて翻訳者に支払われます。ちなみに100万以下ならば10%が天引きされ、100万円超ならば20%が天引きされます。

日本の所得税は、翻訳による報酬を「事業所得」もしくは「雑所得」として総合課税します。収入から必要経費を引いて、さらに他の所得と合算したうえで総所得金額を算出し、社会保険料や扶養控除等を引いて課税所得を算出したうえで累進課税で税金を計算します。

課税所得1800万円以上ならば、最高税率(40%)が課税された上、住民税や事業税もかかりますから、簡単に言って所得の6割近くが税金で納めなくてはならないこととなります。

推測ですが、この高負担な税金がお嫌だったのでしょうかね、ハリー・ポッターの翻訳者さんは。なんと、住所をスイスに移して、スイスの永住権を取得して、当地での申告課税で済ませたそうです。

スイスは日本ほど高い税率ではないようですから、それを課税回避と日本の国税庁に睨まれたようです。日本人が、国外に居住する場合、日本で課税されるのは日本国内の源泉所得だけです。翻訳料の場合だと、10%もしくは20%が課税されるだけで納税は終わります。

実務上、日本の納税者に該当するかどうかは、住所地が大きくものをいいます。住所が日本にないのだから、日本に申告(天引きは仕方ない)しなくてもいいというのが、翻訳者さんの意向であったようです。

しかし、どうでしょうね。形式的には合法ですが、実態を鑑みれば日本での課税を厭うた課税回避行為とみなされても仕方ない部分があると思えます。通常、このような場合、税務訴訟になることが多いのですが、何故かそれはなされませんでした。

その代わり、日本とスイスとの間で締結された租税条約に基づき、日本の国税局とスイスの国税局との間の話し合いで解決が求められたとマスコミは報じていました。普通、このような話は公表されませんから、おそらく内部からのリークだと思います。

近年、高額所得者が海外に住所を移して、節税を図るケースが跡を絶ちません。たしか週刊誌の報道では、竹中・元財務大臣も学者の時にやっていたそうですね。そのせいか、国税局はこの手の節税に目を光らせています。率直に言って、日本の税制度は、この手の国際課税には十分対応出来ているとは言いがたいのも事実です。

ただ、税という国家の根幹をなす問題で争うのは、相当な覚悟が要ります。ある意味、警察や検察よりも強烈な権力を持っているのが国税庁ですから。

反面、海外から金や資源、人材を多く導入した意向が政府にあるのも事実。そのせいか、アメリカの内国歳入庁(日本の国税庁にあたります)をはじめてとして海外の税務当局との連携を強めたい意向もあるようで、ますます目が離せない状況です。

ハリー・ポッターの魔法も、税金からは逃れられないようですね。



2008/8/8  14:52

投稿者:ヌマンタ

Patriotsファンの”わし”さん、こんにちは。翻訳業は、ほとんど経費らしい経費はありませんから、収入から経費を引いた所得の6割ちかくが税金となると、多くの方は税金を安くしたいと切望します。日本の累進課税は、封建時代の税制よりも過酷(軍役こそありませんが)なので、皆さんあれこれ画策するかた、多いです。

とりわけ、政府が無為無策の感が否めない現状だと、こんな政府に!と思うのでしょうかね。

この翻訳者の場合、自分の会社を使い節税をはかり、なおかつ海外脱出ですから、国税当局の印象は悪かったようです。

2008/8/7  10:58

投稿者:Patriotsファンの”わし”。

私はハリポッタファンで、本、映画、DVDは何度も熟読,視聴してい
ます。この話、税金の話、以前聞いてがっかりしました。

日本の土地で育って、日本語をしゃべって、本を日本語に訳して、日
本人に買ってもらって、日本人のおかげで一財をなして、そして今度
は日本ために税金をたっぷり払って,腑に落ちない部分(現状を見れ
ば気持ちは分からないでもないですが)があるにせよ日本国の為に!
とはならないんですかね?

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